日本円の金貨は、明治時代から昭和初期にかけて発行された近代金貨です。額面は「円」ですが、現在の流通貨幣として使うものではなく、アンティークコイン・収集品として取引されることが一般的です。
日本円金貨の魅力は、金としての地金価値だけではありません。年号、発行枚数、保存状態、鑑定評価、現存数などによって評価が大きく変わるため、同じ額面の金貨でも市場価値に大きな差が出ることがあります。
この記事では、旧二十円金貨から新五円金貨まで、日本円の金貨12種類について、基本規格や価値を見るポイントをわかりやすく解説します。
日本円の金貨とは
日本円の金貨は、明治政府が近代的な貨幣制度を整える中で発行した本位金貨です。明治初期の「新貨条例」によって円・銭・厘の貨幣単位が整備され、金貨・銀貨・銅貨が発行されました。
その後、明治30年の貨幣法によって金本位制が採用され、旧金貨よりも小型・軽量化された新金貨が登場します。一般的に、明治初期から発行されたものを「旧金貨」、明治30年以降に発行されたものを「新金貨」と呼びます。
旧金貨には龍図を中心とした華やかなデザインが多く、新金貨は菊紋や額面表示を中心としたすっきりしたデザインが特徴です。
日本円金貨12種類の基本情報一覧
以下は、日本円金貨の主な12種類です。純金量は、重量に金品位90%を掛けた参考値です。
※明治2年銘の試作貨というものも存在しますが、ここでは一般的に流通していた明治3年銘以降を紹介しています
| 額面 | 直径 (mm) |
重量 (g) |
金含有率 | 参考: 純金量(g) |
発行開始年 | 年号の範囲 (年銘) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 旧二十円金貨 | 35.06 | 33.3 | 金90% / 銅10% |
29.97 | 1871年 (明治4年) |
明治3〜明治25(年号例:明治3・9・10・13、明治25=博覧会用など) |
| 旧十円金貨 | 29.42 | 16.7 | 金90% / 銅10% |
15.03 | 1871年 (明治4年) |
明治4〜明治25(年号例:明治4・9・10・13、明治25) |
| 旧十円金貨(縮小) | 29.39 | 16.7 | 金90% / 銅10% |
15.03 | 1876年 (明治9年) |
明治9〜明治25(縮小は明治9以降の年号に該当) |
| 旧五円金貨 | 23.84 | 8.33 | 金90% / 銅10% |
7.5 | 1871年 (明治4年) |
明治3〜明治4 |
| 旧五円金貨(縮小) | 21.81 | 8.33 | 金90% / 銅10% |
7.5 | 1872年 (明治5年) |
明治5〜明治30(※年号は断続的) |
| 旧二円金貨 | 17.48 | 3.33 | 金90% / 銅10% |
3 | 1871年 (明治4年) |
明治3〜明治25(年号例:明治3、明治9・10・13、明治25) |
| 旧二円金貨(縮小) | 16.96 | 3.33 | 金90% / 銅10% |
3 | 1876年 (明治9年) |
明治9〜明治25(縮小は明治9以降の年号に該当) |
| 旧一円金貨 | 13.51 | 1.66 | 金90% / 銅10% |
1.49 | 1872年 (明治5年) |
明治4(大型:明治4の前期/後期など) |
| 旧一円金貨(縮小) | 12.12 | 1.66 | 金90% / 銅10% |
1.49 | 1874年 (明治7年) |
明治7〜明治25(年号例:明治7・9・10・13、明治25) |
| 新二十円金貨 | 28.78 | 16.7 | 金90% / 銅10% |
15.03 | 1897年 (明治30年) |
明治30〜昭和7 |
| 新十円金貨 | 21.21 | 8.33 | 金90% / 銅10% |
7.5 | 1897年 (明治30年) |
明治30〜明治43(明治30〜37、40〜43) |
| 新五円金貨 | 16.96 | 4.16 | 金90% / 銅10% |
3.74 | 1897年 (明治30年) |
明治30〜昭和5(年号は断続的) |
旧金貨と新金貨の違い
旧金貨と新金貨の大きな違いは、発行時期、サイズ、重量、デザインです。
旧金貨は明治初期に発行された金貨で、龍図を中心とした華やかなデザインが特徴です。二十円、十円、五円、二円、一円の額面があり、一部には縮小タイプも存在します。
一方、新金貨は明治30年の貨幣法以降に発行された金貨で、二十円、十円、五円の3種類が作られました。旧金貨に比べて小型・軽量化され、額面表示や菊紋を中心としたデザインになっています。新二円金貨や新一円金貨は発行されていません。
価値の面では、旧金貨は現存数が限られるものや希少年号が多く、状態の良いものは高く評価されやすい傾向があります。新金貨も、昭和期の年号や発行枚数の少ない年号、鑑定評価の高い個体はプレミアがつくことがあります。
日本円金貨の価値を左右するポイント
日本円金貨の価値は、単純な金の重量だけでは決まりません。主に以下のポイントが評価に影響します。
年号
同じ種類の金貨でも、年号によって発行枚数や現存数が異なります。希少な年号は、一般的な年号より高く評価されることがあります。
発行枚数・現存数
発行枚数が少ない金貨や、発行後に回収・溶解された可能性が高い金貨は、現存数が少なくなりやすく、希少性が高まります。
保存状態
摩耗、キズ、汚れ、磨き跡、変色などは評価に影響します。特にアンティークコインでは、無理に磨くと価値を下げてしまう場合があります。
鑑定評価
NGCやPCGSなどの鑑定会社によって真贋・状態評価を受けたスラブ入りコインは、取引時の安心材料になります。グレードが高いものほど評価されやすい傾向があります。
真贋リスク
日本円金貨は人気が高いため、偽物やレプリカ、加工品も存在します。金貨そのものを購入する場合、重量・直径・品位・デザインの細部を確認することが重要です。
しかし、それでも真贋を見極めるのは心配が残ると思います。その場合は、前記のようにNGCやPCGSによる鑑定済みの金貨、もしくは財務省が過去に実施した近代金貨オークションの放出原品のように、個体固有の管理番号が振られた財務省ケースに入っている金貨を選ぶのが安心です。
市場環境
金相場やアンティークコイン市場の需要によって、取引価格は変動します。特に金価格が大きく動く時期は、地金価値の影響も受けやすくなります。
特年と呼ばれる価値の高い年銘
日本円金貨には、発行枚数が少ない、現存数が限られる、コレクター人気が高いといった理由で「特年」と呼ばれる年号があります
たとえば、旧二十円金貨では明治9年、明治10年、明治13年銘などが希少性の高い年号として知られています。旧十円金貨や旧二円金貨、旧一円金貨の一部年号にも、発行枚数が極めて少ないものがあります。
また、新二十円金貨では昭和5年、昭和6年、昭和7年銘などが注目されることがあります。新十円金貨では明治43年銘、新五円金貨でも年号によって評価が分かれます。
ただし、特年だから必ず高額になるとは限りません。実際の価値は、保存状態、鑑定グレード、真贋、需要、取引時点の市場環境によって大きく変わります。
日本円金貨を購入する際の注意点
日本円金貨を購入する際は、見た目の美しさや価格だけで判断しないことが大切です。
まず確認したいのは、重量と直径です。金貨は規格が決まっているため、重量やサイズが大きく異なるものは注意が必要です。特に金貨は比重が高いため、金以外の素材で作られた偽物は重量や厚みに違和感が出ることがあります。
次に、表面のデザインや刻印の細部を確認します。龍の鱗、文字の形、菊紋、縁の仕上げなどに不自然さがないかを見ることが重要です。ただし、肉眼だけで判断するのは難しいため、高額な金貨ほど鑑定済み品を選ぶのが安心です。
また、磨き品や洗浄品にも注意が必要です。一見きれいに見えても、コイン表面に不自然な光沢や細かな擦り傷があると、収集品としての評価が下がる場合があります。
購入する際は、信頼できる販売店を選び、真贋保証や返品条件、鑑定書の有無を確認しましょう。
まとめ
日本円の金貨は、明治期から昭和初期にかけて発行された歴史ある近代金貨です。旧金貨と新金貨では、発行時期、重量、サイズ、デザインが異なり、それぞれに収集価値があります。
特に旧二十円金貨、旧十円金貨、旧二円金貨、旧一円金貨の希少年号や、新二十円金貨の昭和期年号などは、コレクターから注目されやすい種類です。
一方で、日本円金貨は偽物や加工品もあるため、購入時には規格、状態、鑑定評価、販売店の信頼性をしっかり確認することが大切です。
日本円金貨は、金としての価値だけでなく、日本の近代貨幣史を感じられるアンティークコインです。コレクションとしても、資産性のある金貨としても、長く人気を集めているジャンルといえるでしょう。
取り扱い商品一覧
当店で取り扱う日本円金貨は下記の通りです。
