資産性とコレクション性を兼ね備えたアンティークコインについて、選ぶためのポイントや知っておくべき基礎知識をまとめてみました。これらのような内容を意識しながら、あなたにピッタリのアンティークコインに出会えるきっかけになれば幸いです。
アンティークコインを選ぶポイント
デザイン性/造形美
自身に合ったアンティークコインを選ぶにあたり、まず見た目が好きかどうかは大切です。彫刻家による繊細なデザインは時代を超えた魅力を感じますし、形状自体も円形の他に多角形のものや厚めの重厚感あるものなど様々。まず直感的に良いなと思えることは重要です。
歴史的観点
「このアンティークコインは、こんな時代にあったんだな」といった歴史的観点での感動も外せません。例えば古代ギリシャや古代ローマのアンティークコインは2000年以上前のものということになりますが、その頃からあったとは思えないような良い状態のコインも多数残っています。自身の好きな歴史に登場する時代や人物のアンティークコインという観点で選ぶこともおすすめです。
希少性
アンティークコインの多くは発行年度とその年度の発行枚数を確認できます。同じ種類のアンティークコインでも発行年度によっては発行枚数が少なく、それによって希少性が高くなる要因にもなります。興味を持ったアンティークコインに対しては、いつからいつまで発行されていたのかも含め、発行年度や発行枚数も意識したほうが良いでしょう。
ただ、希少性を考える際には「コレクターがどれだけ存在するか」というのも重要な観点です。世界に十枚しかないというアンティークコインだとしても、そのアンティークコインを収集するコレクターが少ないと、資産性としては低くなる可能性があります。
状態(グレード)
後述しますが、アンティークコインの重要な価値基準として「状態(グレード)」があります。種類や発行年度等が同じでも、状態(グレード)によって価値は大きく異なります。状態(グレード)は高い方が良いということにはなりますが、アンティークコインの性質上、状態(グレード)が高いものだけを追い求めていると良い出会いを逃してしまうことになりかねません。
資産性のみを考えると状態(グレード)の悪いアンティークコインは購入し難いですが、コレクション性を考慮する場合は、自信が許容できる範囲であれば状態(グレード)はあくまで参考値とする程度でも良いかと思います。
真贋証明
アンティークコインを購入する際に一番心配なのは「偽物だったらどうしよう」という不安ではないでしょうか。信用できる業者から購入したとしても、本物である証明が無いまま所有し続けるのは資産としてもコレクションとしても安心できません。
この不安を払拭するためには、真贋証明済みであるかどうかを確認しておくことが一番です。後述しますが、まず世界で真贋鑑定を含めたグレーディングを提供している会社は「NGC」と「PCGS」の2社ですので、この2社の鑑定済みであるかどうかが、わかりやすい基準となります。
状態(グレード)について
状態(グレード)はアンティークコインの価値が決まる重要な要因です。日本国内では第三者機関による明確な状態(グレード)に対する鑑定基準は無いですが、海外グレーディング会社で鑑定済みの場合は、真贋証明とともに状態(グレード)も明確に数値化されています。下記の表記を覚えておくことで、アンティークコインの価値基準を知ることが出来ます。
鑑定グレード | 状態説明 | ||
---|---|---|---|
日本国内基準 | 海外グレーティング会社基準 | ||
完全未使用品 | FDC(FleuDeCoin) | MS66~70 | 流通前に保管された未使用品の中でも製造時や輸送時によるキズが極めて少なく、製造時の光沢を保ったほぼ完璧の状態。 |
未使用品 | UNC(Uncirculated) | MS62~65 | 流通前に保管された未使用品。時代経過によるトーンや多少の汚れは認められる。 |
準未使用品 | AU(About Uncirculated) | MS60~61 | 未流通もしくは未流通に近い状態。ごく僅かなキズがある場合も含む。 |
極美品 | EF(Extremely Fine) | EF50~AU58 | 流通していたコインでキズや摩耗は少々あるものの、主要デザインは明確に判別可能な状態。 |
美品 | VF(Very Fine) | EF40~45 | 流通していたコインで全体的にキズや摩耗がある状態。細部のデザインは不明瞭となっているが、主要デザインは十分に判別可能。 |
並品 | F(Fine) | VF30~35 | 流通していたコインで全体的にキズや摩耗がある状態。一部デザインが不明瞭。 |
劣品 | VG(very Good) | F12~15 | 流通していたコインで摩耗が激しく、デザインが不明瞭な状態。年号や額面などは判別可能。 |
グレーディング会社(鑑定機関)と真贋証明について
アンティークコインや古銭を購入する際についてまわるのが「偽物だったらどうしよう」という不安です。その不安を払拭するために、真贋証明と状態(グレード)を鑑定して証明してもらえるグレーディング会社(鑑定機関)が存在します。特にアメリカの2大鑑定機関「NGC」と「PCGS」で鑑定済みのアンティークコインは密封されたスラブに入った状態となり、固有の番号も発行されてインターネット上でそのアンティークコインを確認することが出来るようになります。
NGC
NGC(Numismatic Guaranty Corporation) で鑑定済みのアンティークコインには、7桁+3桁の証明書番号とグレーディングの数字が付与されます。下記のNGCホームページでこれらの情報を入力すると、登録された写真や情報を確認できるようになります。
PCGS
PCGS(Professional Coin Grading Service) で鑑定済みのアンティークコインには8桁の証明書番号が付与されます。下記のPCGSホームページで証明書番号を入力すると、登録された写真や情報を確認できるようになります。PCGSはアジア向けのホームページがあり、日本語でも閲覧可能です。
https://www.pcgsasia.com/?l=ja
英語圏のホームページはこちら。
日本貨幣商協同組合(JNDA)
大判小判などの日本の古銭が対象となる場合、日本にある「日本貨幣商協同組合」が発行する証明書もあります。但し、証明書は発行されるものの古銭自体が保護されているわけではないため、証明書にある写真と実物が同一であるかどうか、またそもそも証明書自体が偽装されていないか、といった観点では注意が必要です。
偽造品の出品についてはJNDAの公式ホームページで注意喚起が発表されることがありますので、念のため購入前に一度確認しておくことをおすすめします。
まとめ
- デザイン性/造形美
- 歴史的観点
- 希少性
- 状態(グレード)
- 真贋証明
これらの5つのポイントについてまとめさせて頂きました。
皆様のお手元にこだわりの一枚が届くきっかけとなれば幸いです。